2020年、半導体特約店を頼れない時代に

中小の設計会社様などでは、Digi-Key や RS コンポーネンツ社などの販売店から半導体製品を購入なさっていると思いますが、中堅以上の企業様では、半導体特約店(商社)を通して購入なさっていたところが多いかと思います。長い間、半導体特約店の手厚いサポートを頼りにしてきた企業様は多いのではないでしょうか?

テキサス・インスツルメンツが丸文との販売特約店契約を終了

そんな中、2019年 7月のニュースは半導体特約店やユーザーの間に大きな衝撃を与えました。

海外に目を広げると、テキサス・インスツルメンツ社(以下 TI)は Avnet や WT Micro、WPG という大手の特約店に対しても、特約店契約の廃止を伝えています。

これらの背景にはいろいろな事情があると考えられますが、一つは半導体業界の生き残り競争が激しく、特約店に支払うマージンを確保しづらくなっていること、もう一つは、インターネットの普及により、製品情報やサポートを半導体メーカー自身が直接かつ効率的に提供できるようになってきていることがあげられると思います。

また現在のところは、半導体メーカーも全ての特約店との契約を破棄せずに、いくつかの特約店契約を残していますが、特約店契約の削減が半導体メーカーの利益率向上に繋がることが明らかになれば、さらに特約店は減って行く可能性があります。特に日本では、総合家電メーカーにかつてほどの元気がなくなりつつあることなどから、半導体メーカーの間で日本の顧客を重視するという姿勢が大幅に縮小しているという現実があります。

技術サポートを、半導体特約店に頼れない時代に

このような潮流を見てきますと、これからは、かなりの大手企業(大口顧客)でない限り、半導体特約店からの手厚い技術サポートを得られないという状況が広がると思われます。今後、どのような対応が必要になるのでしょうか?

1. 半導体メーカーの技術フォーラムサイトを活用する

一つは、これは既に中小の設計会社様などでは既に取り組まれているところかと思いますが、半導体メーカーが提供している技術サポートフォーラム(Q&A)サイトを十分に活用していくことが挙げられます。例を挙げてみますと、

などが有名です。

いくつかのメーカーでは日本語のフォーラムを提供しているところもありますが、ほとんどは英語によるサポートです。利用する側としても、英語で探したり問い合わせたりするほうが、グローバルな技術者グループへのアクセス、高い専門技術を持った技術者との交流など、メリットが大きいでしょう。

最初は、これらフォーラムサイトへの書込みに躊躇される方も多いかと思いますが、しばらく内容を見ていると、どのように質問をすれば良い回答を得られるか、分かってくるものです。質問をする際には、以下をはっきり伝えましょう。

  • 問題の背景
    背景を説明しない質問者も多いですが、具体的な背景を明確にすることで、サポート技術者の関心を強く惹くことができることがあります。サポート技術者も人間なのです。
  • 問題を再現する明確な手順
    可能ならばスクリーンキャプチャを添えましょう。使用した部品や評価ボード、ソフトウェアライブラリのバージョン、使っているパソコン OS も明確に伝えましょう。問題再現手順が不明確な質問は、サポート技術者の対応を遅らせることになります。
  • 解決したい真の問題
    いろいろと不満を列挙したいこともあるでしょうが、それらの感情を抑え、重要な問題に集中すると良いでしょう。この問題だけでも解決できれば、あとは何とかなる、という場合は、問題を一つに絞ることが賢明です。
  • 問題のインパクト
    サポート技術者から納得できる回答が得られない場合には、その問題が解決できない場合に、ユーザーにどのような不利益があり、その重大さはどの程度かを伝えることも必要かも知れません。もし、問題を解決できずに他の半導体メーカーの製品に逃げられるようなことがあれば、それはサポート技術者にとっても不名誉なことでしょう。

2. 技術フォーラムを別の視点から

もう一つ、フォーラムサイトには別の活用法があります。それは、フォーラムサイトを覗いていると、その半導体メーカーが顧客サポートにどれだけ熱心か(お金をかけているか、サポート技術者を大切にしているか)が透けて見えてくるというものがあります。Google などで検索して、ある Q&A が上位に表示されるというのは、言い換えれば、その Q&A を多くの技術者が見ているということになります。役に立つサイトが表示されるのはもちろんですが、役に立たずとも、ユーザーが着目している対応というのは上位に表示される可能性がある訳です。

例を挙げてみましょう。技術フォーラムの Q&A を見ていると、メーカー技術者のこのような応対が目に付くことがあります。

メーカー技術者: 今日はソフト技術者が休みなので、あるいはソフト技術者がフォーラムをチェックしていないので、連絡しておきます。

このようなメーカーでは、ソフト関連の技術サポートを契約先に丸投げしている可能性があります。半導体の技術サポートにおいて、ソフトウェア技術者の視点を重視していない企業に多く見受けられます。

メーカー技術者: 最新版のソフトウェアライブラリでも同じ現象が出るか確認してから、再度質問してください。

質問する側にとって、このような応対ほど不愉快なことはありませんよね。場合によっては、ソフトウェアライブラリのバージョンアップによって互換性がなくなっており、簡単には最新版を評価できないことも多いはずです。このような応対をするメーカーは、(そのような業務が評価されないので)技術サポートに十分な時間を取れない、あるいはソフトウェアのバグトラッキングができていない(バージョン管理ができていない)ところが多いものと推察されます。もし、ユーザーが指摘した問題があるバージョンで解決できていることを知っているならば、このような応対はあり得ないでしょう。

メーカー技術者: 何に困っているのか具体的に言って貰えますか? いったい何を解決すれば良いのですか?

もちろん、質問する側としても、解決して欲しい問題点を明確にすべきですが、例えばユーザーが「このようなことを説明している技術資料はないか?」、「このソフトの挙動はおかしくないか?」と言った問い合わせに対して、ユーザーが抱えている問題の背景(不満)を理解しようとせずに、Q&A をただ早くクローズしたいという意図が明白で、これまた不愉快なものです。

最後に、メーカー技術者の非協力的な回答の後、そのまま Q&A が中断し、メーカー側から一方的にクローズされている Q&A を見かけることもあります。そのような Q&A が多いメーカーの技術サポートは、あまり期待できないと考えたほうが良いでしょう。

3. ファームロジックスに御相談ください

もし、半導体メーカー技術者と直接に議論をするのが苦手、あるいは時間的な余裕がないという場合には、ぜひファームロジックスに御相談ください。米国系の半導体メーカーにおいて、日本の多くのお客様や特約店技術者様からのお問い合わせを 10年以上にわたり解決してきた実績で、御社をお手伝いいたします。

その際、御社の御質問やメーカーの回答をただ翻訳し、丸投げすることは決していたしません。可能な限り、御社の問題をわれわれの手で再現し、問題を明確化いたします。また同時に、メーカーの回答が不十分である場合には、御社の手を煩わせることなく、メーカーとの議論を独立して進めさせて頂きます。

ぜひ、お気軽に御相談ください。

御返答は 24時間以内(営業時間中)とさせて頂いております。もし返答が届かない場合、何らかの事情でメールが不達となっている可能性がございます。大変お手数ですが、別のメールアドレス等で督促頂けますと幸いです。なお、Facebook ページ(https://www.facebook.com/flogics/)でも御連絡頂けます。