[番外編] 旧版地図と(小田急相模原)地域史勉強のまとめ

投稿者: | 2022年6月4日

Studying old maps and Odakyu-Sagamihara local histories.

仕事の合間に、旧版地図や、地元「小田急相模原(オダサガ)」の地域史など勉強しています。歴史にはあまり詳しくなくて、どちらかというと、ただの好奇心に近いです。しかし地図は昔から大好きで、何時間でも見ていて飽きません。(家族には呆れられていますが。)

以下、ここ数ヶ月書いてきた記事をまとめさせて頂きます。

まずは、個人的に撮影してきた小田急相模原の写真集です。2011年くらいからは、Google ストリートビューでなんでも見られるようになってしまいましたが、それ以前の写真を見つけるのはけっこう大変です。もっと以前から何気ない町並みの写真を撮ってきたら良かったな、と少し後悔しています。

続いて、odasagamen さんという方が「オダサガ一人飯アーカイブス 小田急相模原グルメ」という素晴らしいブログを書いていらっしゃいましたが、そこに登場する飲食店(主に定食屋さん)を地図の上にプロットしてみました。お店を訪れるときに御参考頂ければ幸いです。ただし、残念ながら既に閉業してしまったお店も多いです。

さらに、上記ブログに触発されて、小田急相模原にかつてあった飲食店を過去 50年くらいにわたって調べてみたのがこちらです。ま、興味本位ではありますが、昔は寿司屋、うなぎ屋、蕎麦屋、町中華、文房具屋などが本当に多かったな、というのが実感です。

当時は、外食あるいは近所付き合いで夕飯を、あるいはお酒でも、というと、寿司屋や鰻、蕎麦、というのが多かったのでしょう。私の子供の頃(1970年代)では、来客時に、寿司や蕎麦、ラーメンなどを出前して貰う、というのはごく当たり前の日常でした。(いずれも、チェーンのファーストフード店、コンビニエンスストアなどに置き換わってしまったというのは、時代の流れとは言え、やや寂しいところです。)

次に、上の作業の中で多くの旧版地形図、旧版住宅地図を参考にしてきたのですが、その中で、近所の緑道(遊歩道)がかつての畑地灌漑(かんがい)用水だったということに気付きました。それをまとめたり、実際に歩いてみたりしたのが、こちらです。

最初は、東幹線だけを追っていたのですが、大野支線、西幹線などにも手を広げてしまっています。(ちなみに西幹線については、小田急相模原近辺で桜並木が整備されているところが多いです。)

ところで旧版地図

このような作業をしているときに必要になるのが旧版地形図、旧版住宅地図、航空写真などです。このような研究をなさっている方の中は、いろいろなツールを駆使なさっていると思いますが、以下に私が参考にしているツールをまとめさせて頂きます。御参考になれば幸いです。

旧版地形図(明治時代後期から)

最初は旧版地形図です。国土地理院のウェブサイトを覗くと旧版地形図の一覧があり、複写依頼(有償)をすることができます。しかし、現実には以下のウェブサイトが非常に便利です。(大学の研究室で、先生や学生さんがまとめられているようです。)

明治時代後期、大正時代後期の地形図が閲覧できます。本当に有意義な研究だと思います。(もっと古い地形図については後述の「迅速測図」を参照。)

旧版住宅地図

次に旧版住宅地図です。こちらについては、残念ながらネット上で閲覧できるものを見つけられていません。対象地域をカバーする公立図書館などを訪れて、相談するしかなさそうです。地元相模原市については、こちらの資料が参考になります。また、大和市については、明細地図社の旧版地図を、市立図書館(シリウス)で閲覧できます。

歴史的な航空写真

航空写真については、こちらが参考になります。古いものですと、戦前(1939年頃)の写真も見られます。

公式には、航空写真ではなくて空中写真というのですね!  ウェブサイトの使い勝手は「最高!」とは正直言いがたいですが、良くできているウェブサイトだと思います。

陰影起伏図

地域史を調べていると、土地の高低を調べたくなることがあります。例えば、昔の川筋や旧街道・古道を追ったり、道路と線路の立体交差の歴史を調べたり、などです。

国土地理院の標高データを QGIS(後述)などでプロットするのが勉強になって良いのですが(ネット検索エンジンで、「qgis 標高」などと検索してみてください)、ちょっと調べたいときにはこちらが便利です。

最初見たときは、本当に PC の画面が立体的になっているような錯覚を覚えました。よくチューニングされていると思います。ちょっと残念なのは、マウスカーソルを当てた箇所の標高を表示する機能が見当たらないことです。できるのかも知れませんが、私にはまだ分かっていません。

迅速測図(明治初期の地図)

実は、地図の歴史などの本を読んでいると、明治初期に作られた迅速測図というものがあることが分かります。国会図書館など行けば見られるのだろうなあ、と漠然に考えていたのですが、こちらの方の、これまた素晴らしいブログを拝見していたら、ネットで迅速測図が見られるようです。しかし、「リンク切れ」でした。

もう少し調べてみたら、なんとネット上で詳細な迅速測図を、それも現代の地図と比べながら閲覧できるウェブサイトがあるではないですか!  ウェブのタイトルが「歴史的農業環境閲覧システム」となっているので、これでは私のような地図マニアは見逃してしまいます。。。

こちらが実際の比較地図です。なんとカラーです。土地の使われ方(桑畑、林など)が色分けされているので分かりやすいです。そのため「農業環境閲覧」なのでしょう。

私が見た地域では、地図の作成が明治 15年となっています。現在の地図を比べてみても、信じられないくらい精度が高いのが分かります。とても「迅速」とは思えません。明治 15年というと、この近所に整備された(これまた貴重な歴史遺産)「相模野基線」の時代です。ちょうど同時期であったということで、上述の迅速測図には相模野基線も三角点も登場しません。おそらく、相模野基線や三角点の成果を元に、明治後期の二万分の一地形図が作成されていったのではないかと思います。

ライセンス: このウェブページのアイキャッチ画像は、歴史的農業環境閲覧システムにより「クリエイティブ・コモンズ 表示 – 2.1 日本 ライセンス」の下で提供されています。クリエイティブ・コモンズのライセンス下での御提供に御礼申し上げます。ファームロジックス

その他ツール

自分で地図を作ってみたくなることはありませんか?  私が個人的に一番手軽だと思っているのは、Google My Maps です。

ただし、痒いところに手が届かないこともよくあります。その場合は、PC 上のアプリである QGIS が便利です。

旧版地図の画像データなどを重ね合わせたりするための georeferencing という機能が非常に有用です。作った地図をネットで公開するようなプラグイン(qgis2web など)も公開されています。

今日はここまで。

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