Comparing two ARM Cortex-M4 evaluation boards of NXP.
ちょっとだけ時間が取れそうなので、NXP Semiconductors 社の評価ボードと、その開発環境、OS(FreeRTOS)を評価してみようと思います。またすぐに仕事が入って、中断してしまう可能性があるので、調べたことを少しずつメモしていく予定です。
NXP 社の ARM Cortex-M4 系マイコンの評価ボードを調べていくと、現在のところ以下の 2つが気になる存在です。
前者 OM13092 には LPC54608J512ET180 が搭載されているようです(回路図で確認)。RJ-45 ソケットが付いており、10M/100M Ethernet に対応しています。Ethernet アプリケーションの試作に有用そうです。また、比較的大型の LCD が付いているので、表示器が必要なデモにも便利かと思います。
後者 OM40007 には LPC54018JET180 が搭載されているようです(回路図で確認)。こちらは、流行り(?)の Amazon FreeRTOS に対応したボードです。FreeRTOS は元来、ベンダ独立系のフリーウェア OS ですが、Amazon が着目し、自社の AWS クラウドの商品ラインナップに加えていこうとしているように見えます。このボードには Wi-Fi モジュールが載っており(現状、国内の工事認証は非取得)、802.11b/g/n(2.4GHz)に対応しています。いわゆる IoT の試作に便利そうです。
上記 2つのボードについて、まずはマニュアル(データシート)を片手に、それぞれの機能を少しだけ調べてみました。(KB はキロバイト、MB はメガバイトです。「←」は同左を意味します。なお、いくつかの機能はデバイスとしてはサポートしていても、評価ボードでは利用できないものもあるので御注意ください。また、情報の確認には注意を払いましたが内容については保証いたしません。各自で再チェックの上、御利用ください。)
OM13092 | OM40007 | |
---|---|---|
搭載マイコン | LPC54608J512 | LPC54018J |
CPU コア | ARM Cortex-M4 (r0p1) | ← |
CPU クロック | 180 MHz | ← |
FPU | あり | ← |
MPU (Memory Protection Unit) | あり | ← |
オンチップ ROM | 512 KB | なし |
ボード上の Flash ROM | 16 MB | 0.5 MB |
オンチップ SRAM | 200 KB | 360 KB |
ボード上の SDRAM | 16 MB | なし |
HS USB | あり | ← |
Ethernet MAC | MII/RMII | ← |
ボード上の Ethernet 機能 | あり | なし |
ボード上の Wi-Fi 機能 | なし | あり |
Flexcomm | 10本 | 11本(制限あり) |
CAN FD | なし | あり |
ボード上の LCD | あり | なし |
マイコン IC 単価(下記註あり) | US$ 10〜12 | US$ 9〜11 |
OM40007 ですが、外部 Flash ROM が 512KB あり、また SRAM が比較的多めですが、オンチップ SRAM に全てのプログラムオブジェクト(命令コード)を配置すると、ちょっと狭そうに感じます。しかし面白そうな機能として、同マイコンでは Execute in place (XIP) という機能があり、SPI に接続された Flash ROM 上で直接プログラムを実行したり、DMA 転送をしたりできるそうです。ここのウェブサイトを見ると、最大で 52 MBytes/sec の転送レートが得られるそうなので、ある程度のパフォーマンスが期待できそうです。
なお Flexcomm とは NXP 社のシリアルインターフェイス機能で、設定により I2C, I2S, SPI, USART として利用できるもののようです。
上記表のマイコン IC 単価ですが、本日現在、Digi-Key における 1ユニットあたりの売価です。
とりあえず、今日はここまで。多少なりとも御参考になれば幸いです。