ハンダごてとピリピリの関係

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Measured AC leakage of a soldering iron.  Found it may have 12 V (AC) between the iron tip and the AC power line depending conditions.

以前、リストストラップ(半導体の静電気破壊を防止するために手首に装着するアースの一種)を付けながらハンダ付けしたときに、手首がピリピリする現象に悩まされました。リストストラップには通常 1MΩ(メガオーム)程度の抵抗器が入っているので、仮にリストスラップを着けたまま AC コンセントの非接地(ホット)側に触れても重大な事故に繋がることはありませんが、ピリピリするのはあまり気分の良いものではありません。(リストストラップと接地間に抵抗器が入っていないと大変危険です。要注意。

最初ピリピリを感じたとき、(私はタートルネックセーターを着られないほどの神経質なので)きっとリストストラップの素材に対して敏感肌なのかと思いましたが、そのうちに、ハンダごての小手先を左手のハンダに触れているときだけピリピリすることに気づきました。これはつまり、ハンダごてを介してリストストラップから電気が流れていることを意味しています。そのときは急ぎの案件だったので我慢してハンダ付けしてしまったのですが、今日になって、ハンダごての絶縁性を調査してみることにしました。

まず最初に、ハンダごてに通電しない状態で、コテ先と電源プラグ間の抵抗値(DC インピーダンス)測定してみます。これはさすがに、測定範囲外(50MΩ 以上)を示しました。

次に、知り合いの I さんのアドバイスで、通電時にコテ先に印可されている AC 電圧を測定してみることにしました。測定には、入力インピーダンス 10MΩ をうたっているデジタルマルチメーター(DMM)を用いました。

ハンダごてに通電し十分に温まってから、部屋にある D種接地端子とコテ先の間の電圧を測ってみます。すると 12V(AC)を示しました。

以下、写真は略しますが、今度は電極プラグとコテ先の間の電圧を測ってみたところ、

  • コンセントの接地側と、コテ先間: 12.1V(AC)
  • 参考までに、同非接地側とコテ先間: 13.9V(AC)

いずれにしても、接地極とコテ先の間に 12V(ボルト)の電圧があると、ピリピリすることがあるかも知れません。(子供の頃に乾電池のマイナス端子を触りながらプラス端子を舐めたことがある方があるかも知れません。1.5V の乾電池でも、人体は電圧を感じることができます。重大な注意: お子さんに試したりしないように。また、9V の 006P 乾電池等で試すと舌先を火傷することがありますのでやめましょう。いずれにせよ、自己責任でお願いいたします。

次に、ハンダごての電極プラグを差し替えて試してみました。

  • コンセントの接地側と、コテ先間: 5.2V(AC)
  • 参考までに、同非接地側とコテ先間: 21.4V(AC)

どうもコテ先と電源端子の間は、対称な設計にはなっていないようです。

半導体部品に、十分高いインピーダンスで 12V 程度を与えても破壊することは稀でしょうから、ハンダごてに必ずしも問題があるとは言えませんし、リストストラップも十分に機能しています。しかし、作業中にピリピリくるのはあまり気分良いものではありません。今後は、できるだけアース端子(あるいは電源プラグが 3極になったもの)のついたハンダごてを選ぼうと思いました。

付記: コテ先が温まっている状態で、コテ先と電源プラグ間の DC インピーダンスも強引に測ってみました。AC 電源からノイズが乗るので正確には測れないのですが、数十 MΩ 程度の抵抗値になっているように見えました。(ヒーターが熱せられた状態では、電源端子とコテ先間の抵抗値が低くなっている可能性があります。)