Evaluating to receive HF (shortwave) by RTL-SDR dongle + SpyVerter.
ビーコンモニタ改良計画が止まっていたのですが、少しずつ再開しています。海外のアマチュア無線家から、同じ受信環境が欲しいという問い合わせをしばしば頂戴するので、再現性の高いものを作りたいと思っています。
今までは SoftRock というソフトウェア無線受信機を使っていたのですが、これは基本的にキットであり、おまけに工作には表面実装部品のハンダ付けや、トロイダルコイルの自作などが含まれ、けっこう難易度が高いです。加えて、これだけでは PC や Raspberry Pi に繋ぐことができず、間にステレオ入力のサウンドカードが必要です。I/Q の識別やサンプリング遅延などの問題があるために、同じビーコン受信環境を再現しようとしても難しいことが多く、困っていました。
そのため、今回は入手が楽で工作が不要、という条件から RTL-SDR ドングル型のソフトウェア無線受信機と、SpyVerter というアップコンバータを使ってみようと考えました。購入した機材が先週到着したので、評価してみました。
まずは FM 放送の受信
手元の Mac に Gqrx というソフトウェアをインストールし、まずは FM 放送を受信してみました。インストール方法は、こちらに見つかります。
RTL-SDR は、27MHz 以上の無線はそのまま受信できるので、ここでは SpyVerter は不要です。無事に受信できました。
短波の受信
短波帯を受信するには、SpyVerter を使います。SpyVerter は受信信号を 120MHz 上の周波数にコンバートしてくれるもので、例えば 21MHz の電波は 141MHz として RTL-SDR に入力されます。
SpyVerter の電源はマイクロ USB か、あるいは bias tee という、アンテナ同軸ケーブルに DC 電源を重畳させる方法で入力します。SpyVerter 自身には、特に USB 制御などはないので、あとは単純に Gqrx の周波数入力に目的の周波数 + 120MHz を設定してあげれば良いのですが、Gqrx の画面にある Input Controls というペインを選ぶと LNB LO という項目があるので、ここに -120MHz と設定してやれば、120MHz の加算を忘れることができます。(そのまま、周波数入力に HF の周波数を設定できるようになる。)
実際に、ランダムワイヤアンテナを SpyVerter を介して RTL-SDR に入力して、アマチュア無線の 15 メーターバンドで送信されているビーコンを受信してみました。
FFT ウォーターフォールの表示設定に慣れが必要ですが、無事に KH6RS と VR2B の受信スペクトルを表示することができました。
おまけの ADS-B 受信
RTL-SDR を買ったら試したかったことの一つに、ADS-B(Automatic dependent surveillance – broadcast)の受信があります。これは、航空機の空中衝突防止装置が出力する電波で、飛行中の航空機が現在位置、高度、速度、進路などを近隣の航空機に広告(broadcast)するために使われています。周波数は 1090MHz だそうです。
私はこの周波数に適した、かつ指向性の低いディスコーンアンテナなどを持っていないので、短波受信用のランダムワイヤを強引に RTL-SDR に繋いでみました。ADS-B は周波数が高いので SpyVerter は不要です。
受信には、Dump1090 というソフトを利用させて頂きました。コマンドラインで動くソフトで、Mac OS X 上で make コマンドで簡単にビルドできました。簡単な割には凝った設計で、–net オプションを付けて起動するとポート 8080 で簡易 HTTP サーバーが動き、GUI になります。
あまりにも簡単に、近所を飛んでいる飛行機からの ADS-B を受信できたので驚きました。
さて。元々の目的はビーコンモニタの改良なので、ADS-B にも未練がありますが、元の作業に戻ろうと思います。