The RISC-V Reader: An Open Architecture Atlas の訳書を買いました

投稿者: | 2019/11/27

Purchased a Japanese-translated "The RISC-V Reader: An Open Architecture Atlas."

パターソン先生とウォーターマンさんの The RISC-V Reader: An Open Architecture Atlas の訳書「RISC-V 原典」を購入しました。コンピュータ技術者にとって、非常に勉強になる本です。特に私はアセンブラでの設計経験(Z80, TI C5000)がありますし、TI C6000 のアセンブリもけっこう読みました。。。

まず最初に内容ですが、これは間違いなく優れた参考書です。

問題は、訳出でしょうか。決してひどい翻訳ではないのだけど、読んでいると(まだ10ページほどしか読んでないのですが)、あちこちで不安になり、原書に当たりたくなってきます。(原書を買ったほうが良かったかな。でも、私の英語力だと途中で読み飽きてしまうだろうな。)

一例を挙げましょう。9ページ目の中程に「…16ビットの命令も32ビットの命令も最下位ビットが 0 のはずだからだ」とあります。コンピュータの専門家なら「そんなバカな」と、読んでいて必ず不安になるところでしょう。まして本の中で、命令(オペコード)空間にどれだけ多くの命令を詰め込むか、という苦労談に続く節なのです。常に最下位ビットが 0 の命令セットなんてある訳がないのです!

ネットで探して原書をあたってみましょう。「(略)branches to a byte address with a 1 in the least-significant bit, which worked because 16-bit and 32-bit instructions should have 0 in that bit」とありました。つまり正しい訳としては(ちょっと冗長ではありますが)、「… 16ビットの命令も 32ビットの命令も、その分岐先バイトアドレスの最下位ビットが 0 のはずだからだ」とすべきでしょう。(つまり that は、the least-significant bit を指している訳です。)

このような箇所を、既に 2〜3カ所見つけてしまい、読むのが辛くなってきています。

翻訳者さんは優秀な技術者だと思うのですが、たぶんお忙しく(最近の出版業界は本当に予算が厳しいのを、私も経験で知っています)、原書の内容理解まで十分に時間が割けなかったのだと思います。このような書籍の訳出では、(予算が厳しくても、やはり)専門家が数人で内容を査読すべきでしょう。そうすれば出版後に、コンピュータアーキテクチャに詳しい読者があちこちでひっかかって、原書に当たりたくなる不安を減らせるはずなのです。また、そうでない読者は正確な理解を得られず、本の価値が下がってしまうことでしょう。

せっかくアマゾンから本が届いて繙いたのに、ちょっと残念な気持ちになった夕方でありました。

後記(2019/12/5)

原書を買ってしまいました。

2019/11/27 カテゴリー: RISC-V